車を持つということは、車のローンを払っていくこと以外に、日々のガソリン代、毎年の自動車税、2~3年ごとの車検代を払わなければなりません。
自動車税も、車検代もけっこうまとまった金額になりますから、毎月それ用のお金を貯めていくのがベストです。とわかっていても、いろいろな事情でそれができないこともあります。
ここでは、自動車税を払えなかったらどうなるのかについてまとめました。自動車税滞納の場合、督促から差し押さえまでの流れも説明しています。
〇 自動車税が発生する仕組み
自動車税は、毎年4月1日の時点で車を所有している人、車検証上の所有者に対して発生します。車の用途、総排気量によって税金の額が決まっています。自動車税の納付期限は5月31日です。
車の総排気量/税額
1.0リットル以下/29,500円
1.0リットル超1.5リットル以下/34,500円
1.5リットル超2.0リットル以下/39,500円
2.0リットル超2.5リットル以下/45,000円
2.5リットル超3.0リットル以下/51,000円
3.0リットル超3.5リットル以下/58,000円
3.5リットル超4.0リットル以下/66,500円
4.0リットル超4.5リットル以下/76,500円
4.5リットル超6.0リットル以下/88,000円
6.0リットル超 /110,000円
自動車税は、地方税です。都道府県税事務所が管轄していますが、役所や税務署に支払いに行く必要はありません。金融機関の他、コンビニでも支払えます。
自動車税は、一番安いものでも29,500円もします。一度に払うには大変な人も中にはいるでしょう。本来なら、毎月少しずつでも貯めておけば支払いも楽ですが、ギリギリの生活ならそれも難しいかもしれません。
〇 自動車税を滞納したら起こるデメリット
自動車税を滞納すると発生するデメリットが二つあります。順番に見ていきましょう。
• 延滞税がかかります!
自動車税の納付期限は、毎年5月31日です。それまでに納付できない場合、6月1日から本税に延滞金が加算されます。延滞金の料率も決まっていて、6月中なら年利2.6%、それ以降は年利8.9%にまで跳ね上がります。
ただ、延滞金は1000円以上で加算されるので、本税が低い場合は、数ヶ月請求されないこともあります。
【延滞金の計算方法】
滞納金=〔税額×(納付期限の翌日から1ヶ月経過するまでの日数)×2.6%÷365〕+〔税額×(納付期限の翌日から1ヶ月を経過した日から完納の日までの日数)×8.9%÷365〕
(ケース1)
自動車税34,500円に対して、2か月間(7/31まで)滞納
(34,500×30×2.6%÷365)+(34,500×31×8.9%÷365)=73+260(1円以下は切り捨て)=334円
2か月滞納すると、滞納金は334円になりますが、1,000円未満は請求されないので、2か月の滞納では滞納金の請求はありません。
(ケース2)
自動車税34,500円に対して、6ヶ月間(11/30まで)滞納
(34,500×30×2.6%÷365)+(34,500×183×8.9%÷365)=73+1,539(1円以下は切り捨て)=1,613円
6ヶ月滞納すると滞納金は1,613円になります。1,000円を超えているので、1,600円(100円未満は切り捨て)が本税にオンされて請求されます。
• 車検に通りません
車検を受ける際には、「自動車税納税証明書」が必要です。自動車税を滞納していると、納税証明書がないため、車検を受けることができません。車検は、2年ごとにありますから、車検に通そうと思うと自動車税をそれまでに支払っておく必要があります。
自動車税が払えないから、車を廃車にしても、自動車税の支払い義務は免除されません。支払い義務は残ります。
〇 自動車税が払えない場合、どうすればいいのか?
2つの対処法をご紹介します。あなたの状況に合わせて対処してください。
• 役所に相談しよう!
最悪の対処法は、支払わずそのまま放置することです。支払えないことがわかった時点で、都道府県税事務所や役所に出向いて相談することをおすすめします。
「病気で仕事を休んでいた」「職をクビになって収入が途切れた」などの事情を正直に担当の人に話してみましょう。支払う意思があることを伝えれば、減額、分納の相談に乗ってもらえます。
納付期限が過ぎても、こちらから何の連絡もせず放置していたら、差し押さえ(強制執行)される可能性が高まります。滞納をそのままにしておくことは、絶対避けましょう。
• カードローンで税金額を用意する
仕事に就いていて、今後収入があり、給料さえ入れば税金を納付することができるという状況なら、納付期限に間に合わせて支払うために、カードローンで税金分のお金を借りるということも考えましょう。
ただ、カードローンは、利息を払って返さなければなりませんから、十分に支払えるという前提でお金を借りるようにしましょう。
カードローンと一言で言っても、各銀行の銀行カードローンと、プロミスやアコムなどの消費者金融カードローンがあります。もし、次のお給料で返すことができることがわかっているなら、30日間無利息という消費者金融がいいでしょう。無利息期間内なら、利息はかかりません。
一般的には分割で返済するので、一度に払えない場合は、無理のない1回の返済額になるようにしましょう。
〇 自動車税の督促から差し押さえに至る流れ
税金の督促から、最悪、差し押さえまでどのような流れをたどるのかご説明します。
• 督促状が送られてくる
5月31日の納付期限までに納付しなかった場合、6月中旬から下旬にかけて督促状が届きます。
督促状には、「至急、納付してください」旨のことが書かれています。再納付期限も書かれています。再納付期限までに納付すれば、財産を差し押さえられることはありません。
• 催告書や差押え予告書が送られてくる
督促状が届いたのにもかかわらず、納付しない状態が続くと、催告書が届きます。督促状が届いてから1か月後ぐらいに届きます。
催告書の文面は、督促状とは異なり「〇月〇日までに自動車税を納めない場合は、あなたの財産を差し押さえる可能性があります」と厳しい口調に変化します。
催告書は、一般的には数回送られてきます。それでも支払わない場合は、最終勧告として、差押予告書が送られてきます。
• 給与や預金、車が差し押さえられる!
差押予告書の期限を過ぎても、未納が続くと、最終的に給与、預金、車などが差し押さえられます。差押の時期については、財産隠しなどを予防するために、納税者には知らされません。
差押予告書が来ても、事態が変わらないとタカをくくっていると、ある日突然、差押えられます。差押予告書の1週間後かもしれませんし、1か月後かもしれません。ある日突然です。
差し押さえられるのは、預貯金、給与、そして、それらが難しい場合は、車が差し押さえられます。
給与を差し押さえる場合は、給与の1/4までと決まっていますが、月額330,000円以上の場合は、全額差押可能と決まっています。一方、預貯金は全額差押可能です。
さらに、給与を差し押さえるということになった場合、会社に差し押さえる旨の通知が送られるので、自動車税の滞納が会社にばれることになります。
まとめ
自動車税を滞納したらどうなるかについて詳しくご説明しました。税金には、5年という時効がありますが、時効を迎えるまで税事務所がなんの対処もしないとは考えられません。差し押さえられることは間違いありません。
自動車税を5年間滞納すれば、車の登録が自動的に抹消され、公道を走ることはできません。
自動車を所有している人が自動車税を支払うのは国民の義務です。計画的に自動車税を毎月準備するようにしましょう。どうしても払えない場合は、放置せず、この記事を参考に行動してください。