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会計処理を間違わないためにクレジットカード決済手数料の仕組みを理解しよう

いよいよ10月から消費税が10%にアップします。消費者同様、クレジットカード決済を導入している商店も準備に大変でしょう?

ここでは、クレジットカード決済を導入している商店の方が、クレジットカードの会計処理をスムーズに行えるよう、「カード決済手数料の課税・非課税」など基本的なことについてまとめました。

具体的な数字を例として挙げていますので、クレジットカード決済手数料の消費税について確認しながら、ご理解していただけます。仕訳についてもご確認ください。

〇 クレジットカード決済システムとは?

クレジットカードをお客様が使ってから、商店への入金までのフローを押さえておきましょう。

① お客様が商品代金をカード決済する

② 商店からクレジットカード会社に利用情報を送信する

③ クレジットカード会社より、定められた日に、手数料などを差し引いた金額が商店に支払われる

④ 定められた日に、お客様口座より、利用代金がクレジットカード会社に引き落とされる。

カード決済手数料が課税か非課税かは、直接契約方式か包括代理店契約方式かで決まります。具体的には、ケーススタディでご説明しましょう。

〇 カード決済手数料の消費税が非課税になるケースとは?

カード決済手数料は売掛金の譲渡に当たります。そのため、決済手数料の消費税は非課税です

つまり、カード決済手数料の消費税が非課税になるためには、「金銭債権の譲渡にあたるかどうか」がキーポイントで、クレジットカード会社と直接契約の場合がこれに当たります。

クレジットカード会社のカード決済システムを契約している場合、カード決済手数料を控除した金額が商店に支払われます。

金銭のフローは以下の通りです。

① お客様の商品代金をカード決済

② クレジットカード会社は、定められた日にカード決済手数料を控除した金額を商店に支払う

【ケース1】

10,000円の買い物をカード決済で支払い、消費税込み10,800円で決済のケース

カード決済手数料が4%だとすると、432円が販売価格から控除されます。

カード決済手数料=販売価格(税込)×カード決済手数料の利率)

支払われる金額:10,800円-432円=10,368円(売上高)となります。

カード決済時にかかる手数料は、金銭債権の譲渡にあたるため非課税です。決算処理においては、計上する販売価格(税込)からカード決済手数料を除きます。

〇 カード決済手数料の消費税が課税になるケースとは?

クレジットカード決済導入時に「決済代行会社経由契約方式(包括代理店契約方式)」を選択した場合のカード決済手数料は課税対象になります。なぜなら、カード決済代行会社から支払われる代金の消費税の性質が違うからです。

つまり、カード決済代行会社を経由すると、カード決済手数料がシステム利用料に変わるため、お客様が支払った商品代金から「代行手数料など」を控除した金額が商店に支払われることになるためです。

先ほども書きましたが、決済手数料の消費税が非課税になるのは、「消費税法施行令第10条第3項第8号・9号・10号」による「金銭債権の譲渡」「包括・個別信用購入あっせんに関わる契約においてその金額が明示されているもの」だけであり、システム手数料は、それには当たらないからです。

「包括・個別信用購入あっせんに関わる契約」とは、お客様が購入した商品代金を、お客様に代わって、販売店に立て替えて支払う契約のことで、お客様とカード決済代行会社間では信用取引が成立していないため、消費税施行令から除外されます。

金銭のフローは以下の通りです。

① お客様の商品代金をカード決済

② クレジットカード会社は、カード決済代行会社に商品代金を支払う

③ その後、カード決済代行会社は商店に「システム利用料を差し引いた代金」を支払う

【ケース2】

10,000円の買い物をカード決済で支払う。消費税込み10,800円で決済のケース

カード決済手数料が4%だとすると、消費税は432円となります。

(10800円×4%=432円)

消費税を支払うため、9,568円が売上高になります。(10,000円(税抜)-432円=9,568円)

〇 消費税を計上する際に気を付けるポイント

今までご説明してきたように、カード決済時の消費税計上については、課税か非課税かをきちんと理解しておくことが大切です。

他にも気を付けるポイントをあわせて記しておきますので、ご留意ください。

• 会計ソフトを導入している場合

会計ソフト導入の会社、商店で、会計ソフトを利用する場合、経理担当者は課税取引か非課税取引かを判断する必要があります。

【ケース3】

カード決済手数料が非課税の場合、10,800円(税込)をカード決済した場合の貸借対照表の仕訳方法をご説明します。(決済手数料は4%とする)

・借方

売掛金10,800円

預金 10,368円

決済手数料 432円(非課税)

・貸方

売上高10,000円

仮受消費税800円

買掛金10,800円

「勘定科目」

売掛金:10,800円

預金:10,368円

カード決済手数料:432円

【ケース3】では、カード決済手数料が非課税になるため、仮払消費税はかかりません。

ただ、会計ソフトを使っている場合、経理担当者が税込設定で会計をしてしまうと、手数料432円に対して消費税がかかるように分けられるので要注意です。

課税取引か非課税取引かでカード決済時の手数料の計上の仕方が違ってくるので、会計ソフトを正しく設定する必要があります。

※おすすめの会計ソフトを紹介

• 銀行振込・コンビニ払い・商品代引きの決済手数料は課税対象ということに注目!

カード決済以外の決済手数料にまとめてご説明しましょう。カード決済以外に、お客様が、

銀行振込・コンビニ払い・商品代引きで決済する場合もありますが、それらの手数料はすべて課税の対象となります。

クレジットカード決済手数料は非課税であるのに対して、これらは課税です。ご注意ください。

〇 消費税の計上を間違えてしまった場合、どうすればいいのか?

注意していても間違う場合もあります。間違うケースとして考えられるのは、

会計ソフトを利用する際、消費税コードを間違った

非課税なのに、消費税を控除してしまった

課税なのに、消費税を差し引いて計算していない

などです。

税金を余分に納めた場合は「更正の請求」、逆に利益を少なく計上した場合は「修正申告」になります。

「更正の請求」は、収めすぎた税金を税務署から戻してもらうための手続きです。

「修正申告」では、決算書を訂正できない場合、税務署に提出する確定申告で修正し、追徴課税が発生します。そのまま放置すると、税務調査の対象となり、「加算税」が発生します。気づいた時点で、専門の税理士や会計士、税務署に相談しましょう。

まとめ

クレジットカード決済手数料の消費税区分の違いをご説明しました。いくつかの具体的なケースで説明させていただきましたので、十分ご理解いただけたと思います。もし、間違えると、「修正申告」「更正の請求」などの手続きが必要になりますから、ご注意ください。

カード決済における契約書の記載の手数料の料率も今一度、きちんと確認されるといいでしょう。